指揮者ゴーベール

 モイーズの師匠、フィリップ・ゴーベールはモイーズと共通の師、タファネルとよく似た経歴の音楽家である。最初はフルーティストとして成功し、後にパリ音楽院やオペラ座の指揮者、また作曲家として名をなしている。

 幸いにも、ゴーベールのフルート演奏はアコースティック時代のSP盤に数タイトル残されている。その復刻はLP時代にムラマツやPearlから出ていたが、CDではどうなのだろう?(申し訳ないことに未調査)

*助手追記 現在ゴーベールの演奏を聴くことができるCDは、THE VIRTUOSO FLUTISTS OF THE FRENCH SCHOOL(TO / AS1001/4)、Nellie MELBA : London Recordings 1904(NAX / 8.110737)、GAUBERT : LES CHANTS DE LA MER(ALPHA / ALPHA801)、ECOLE FRANCAISE DE FLUTE 1860 - 1950 VOLUME 5(DORGEUILLE / JCD0005-X)などが確認できます。

 指揮者としてのゴーベールはフルート演奏より多くのタイトルが残されている。というより、電気録音時代のパリの代表的な指揮者の一人と言っても良い。パリ音楽院のオーケストラは、Gramophoneではピエロ・コッポラが、Columbiaではゴーベールが指揮して録音していた。

 指揮者としてのゴーベールが、どのようなオーケストラとどんな曲目を録音しているのかを、僕が知っている限りの資料ではあるが紹介してみたい。


フィリップ・ゴーベール指揮による録音

 PCO=パリ音楽院管弦楽団 PSO=パリ交響楽団 CSO=コンセール・ストララム管弦楽団 O=管弦楽団

 ディスクのレーベルは最後のイベールがGramophone(日本ではビクター)。他は総てColumbiaである。

 ゴーベールのパリ音楽院管弦楽団の指揮者としての任期は、やはり作曲家でもあるアンドレ・メッサージェとシャルル・ミュンシュの間に位置する。1927年頃の録音では、弦のポルタメントやアンサンブルがさほど緻密ではない点で古めかしさを感じるが、1930年代も後半となると、現代のオーケストラに近い演奏スタイルを聞くことが出来る。僕は、この変化には1928年頃にパリの名手ばかりを集めて結成された、コンセール・ストララム管弦楽団の活動が他のオーケストラにも影響を及ぼしたのではないかと想像している。

 いずれにせよ、ゴーベールはミュンシュを経て、クリュイタンス時代で幕を下ろしたパリ音楽院管弦楽団を近代的なオーケストラに成長させる礎を築いた功労者と言えるのではないだろうか。

 この他にモーツァルトのピアノ協奏曲を(たぶんマルグリット・ロンとの共演)録音していたはずなのですが、思い出せないまま、いつものことながら、あっけなくこの章終わり。

(2000年1月7日室長Kirio)


Youtube上にあるゴーベールの指揮による録音

魔法使いの弟子(デュカ) PCO 1937 1938-40 Rec.1937 https://youtu.be/FVxN7VSsLqM

 歌劇「ロミオとジュリエット」~ロミオのアリア(グノー)Tenor: ティル Rec.1927 https://youtu.be/f4-mzN8HMtg

 歌劇「カルメン」~アリア「花の歌」(カルメン) Tenor: ティル Rec.1927 https://youtu.be/wXTkjunYLlA

 歌劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」前奏曲 PCO Rec.1927 https://youtu.be/sPwa6hP4WuQ

 中央アジアの草原にて(ボロディン)PCO Rec.1927 https://youtu.be/QFBUZBTnRKo

交響詩「オンファールの糸車」サン=サーンス  https://youtu.be/zSbgsRCVlrA

交響組曲「シェラザード」(リムスキー=コルサコフ) PCO Rec.1928-29 https://youtu.be/UW8AvDoCn3U

 交響曲 ニ短調(フランク) PCO Rec.1928 https://youtu.be/obl1MQSoR5w

組曲「ペレアスとメリザンド」~シシリエンヌ(フォーレ) PCO Rec.1928 https://youtu.be/vcT5-R8rWyU

管弦楽のための舞踏詩「ラ・ペリ」(デュカ) PCO Rec.1928 https://youtu.be/l-9LQV1wwg4

 歌劇「ファウスト」~ワルツ、牢獄での三重唱 tenor: ティル 他 OPC Rec.1929 https://youtu.be/lm5nAb9p7Kk

 交響詩「はげ山の一夜」(ムソルグスキー) PCO Rec.1929 https://youtu.be/f5REz5lB_ZE

ピアノ協奏曲 第2番(ショパン) pf : ロン PCO Rec.1929 https://youtu.be/F4j_RAfI9GA

ダフニスとクロエ 第2組曲(ラヴェル) CSO Rec.1930 https://youtu.be/xXHLebQGAYI

ピアノと管弦楽のためのバラード(フォーレ) pf : ロン PCO Rec.1930 https://youtu.be/3xAYR32s42M

 交響詩「海の歌」(ゴーベール) PSO Rec.1930 https://youtu.be/GE3s1EX3Wcs

歌劇「魔弾の射手」(ウェーバー) PSO Rec.1930 https://youtu.be/8bgAMZmML58

「シルヴィア」~バッカスの行進 他 PSO Rec.1932 https://youtu.be/0SB7psWA_LU  


チェロ協奏曲(ラロ) cello : マレシャル PCO Rec.1932 https://youtu.be/BhKOEZJlp-8 

歌劇「サムソンとダリラ」〜ダリラのアリア(サン=サーンス)sop : M.デルナ O Rec.1936 https://youtu.be/YriyK351yu0

 交響曲第6番「悲愴」(チャイコフスキー)PCO Rec.1936 https://youtu.be/S7xZMh8p5eA

(2020年5月29日室長Kirio)



マルセル・モイーズ研究室

20世紀最大のフルート奏者の一人とも称されるマルセル・モイーズの足跡を辿るサイトです。 「私の死後にも、音楽への敬意という伝統をフルートを吹く人々に残してゆきたいものだ」 マルセル・モイーズ (スマホの方は左上のメニューバーからお入り下さい。)