モイーズとの対話

全音楽譜出版社から高橋利夫著「モイーズとの対話」が出版されている。この高橋利夫氏は私が学生時代に1年間フルートを、そして音楽表現を学んだ先生なのです。

 この「モイーズとの対話」は、高橋氏がアメリカのモイーズの下で3年間師事されたとき、モイーズと交わされた会話と、その後ご自身で研究された「モイーズ奏法」の紹介からなっています。

 「モイーズとの対話」は日本フルート協会の会報に連載されていたそうです。私は会員ではなく、また以前、協会に別件の問い合わせをして、こりごりした経験があるので未調査。「モイーズ奏法」は、一時僕も会員だったモイーズ研究会の会報に連載されていたのを見ています。この本は学生時代からしばらくの間、文字通り僕のモイーズ研究のバイブルのようなものでした。モイーズの数奇な生い立ちのことや、修業時代のこと、モイーズの人となりを知ったのも総てこの本からです。

 そして、モイーズのSPレコードを収集するにも、この本の情報を頼りにコツコツと池袋や神保町の中古レコード専門店に通ったのでした。

 今では、その後に出版されたフランスの書物やトレバー・ワイ氏の著書などもあり、また実際のSP盤を手にしたりして、この「モイーズとの対話」の記述の中に高橋氏やモイーズ自身の勘違いによる誤りがいくつか存在することもわかりました。しかし、なかなか一度出版された書物に大きな改訂の手を入れることは不可能ですし、先生もお気づきになっておられると思いますが、そのままの状態になっています。

 田舎育ちのへんてこりんなモイーズ狂いの僕を、高橋先生は面白がりながらも、温かく迎えて下さり、熱心なレッスはいつも30分の予定が1時間を越えそうになりました。僕が、今もなんとかフルート吹き、わずかづつでも進歩していられるのは、この時のレッスンのおかげだと思っています。

 その恩に報いる気持ちで、大変僭越な行為とは知りながら、これからモイーズの世界のドアを叩く人たちのために、モイーズを理解する上で正確であった方がいいと思われる部分の、僕が気づいた「誤り」の部分を「正誤表」の形にさせて頂きたいと思います。

なお、巻尾にマルセル・モイーズ年譜が載っているが、上記の年代・年齢の間違いがそのまま反映されているので、参考にして読み替えると良いでしょう。

(1999年7月6日室長Kirio)

マルセル・モイーズ研究室

20世紀最大のフルート奏者の一人とも称されるマルセル・モイーズの足跡を辿るサイトです。 「私の死後にも、音楽への敬意という伝統をフルートを吹く人々に残してゆきたいものだ」 マルセル・モイーズ (スマホの方は左上のメニューバーからお入り下さい。)