モイーズ全盛期のライブ録音
モイーズ全盛期のライヴ録音があります。録音年表の部屋をよお~くごらんになった方はもうご存じかと思いますが、1934年、コペンハーゲンでラジオ放送のためにディスク録音されたものが1983年にdanacodeというレーベルからLPに復刻されました。
このLPは「Great Musicians in Copenhagen Vol.2」というタイトルでLP5枚組で、Vol.2ということはVol.1もあったようですね。このVol.2は1931~35年のデンマーク放送のラジオ用録音を復刻したもので、他にはアドルフ・ブッシュ、ルドルフ・ゼルキン、ワンダ・ランドフスカ、ウラジーミル・ホロヴィッツ他多数の有名な演奏家が軒並みです。
この中に、モイーズが含まれていました。曲はゴーベールの「夜想曲とアレグロ・スケルツァンド」です。ホールでのライヴをディスクに録音したもので(まだテープレコーダーはありませんので、SPレコードをカッティングする要領でディスクに録音するのです)、なかなか臨場感があります。指揮者はポール・パレ、オーケストラはデンマーク・ラジオ・オーケストラです。
いい演奏です。夜想曲のたっぷりとした歌い回しはまるでオペラ歌手のようで、けっして大きな音ではないのですが、しみわたるような、デリケートで、しかし豊かな音です。オーケストラもよくサポートしています。
アレグロ・スケルツァンドは、弾けるような切れの良いスタッカートが印象的です。自由奔放に駆け回っていますが、きちんとオーケストラを従えています。そして不思議なのは、これだけ表現力が豊かなのに、ヴァイオリンなど他の楽器のようではなく、あくまでも「笛」がそこに存在していることです。「笛」の良さってありますよね?まさに、それが存分に表現されていることです。すごいな~~。
余談ですが、まさかこの1曲を吹くためにモイーズが呼ばれたとは思えません。僕はこの年、1934年から推測して、他の演奏曲は「イベールのフルート協奏曲」だったのではないかと思っています。(初演の年です)そして、このゴーベールがアンコールだった....。どうでしょう?
このLPはCDになっているのかどうか、わかりません。どなたか調べてみて下さいませんか?
ちなみにLPの番号は「DAC0 134-138」です。
(1999年2月8日室長Kirio)
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