ニジンスキーとモイーズ
この写真わかりますか?
最近はマンガ(山岸涼子/牧神の午後)でも取り上げられていてご存じの方も多いのでは?そう、伝説のバレエダンサーNijinskyの「牧神の午後」の写真です。(1912年London:ロシアバレエ団公演)ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」に振り付けたものですが、バレエ特有のジャンプが一度も出てこないという不思議な振り付けですよ。
というわけで、この写真も僕のモイーズ研究の一環でして、モイーズはドビュッシーの原曲の初演には関係していませんが、20代の修業時代にバレエ版での初演には関わったらしく、ニジンスキーの天才的な踊りについて「自分のソロを忘れてしまいそうだった」というくらい素晴らしかったことを語っています。(モイーズのソロはテンポや拍がしっかりしていて、ダンサーたちには「踊りやすい!」と評判が良かったようです。)ちなみにあの有名な「春の祭典」の初演(モントゥー指揮)には参加していたようです。ニジンスキーは映画にもなりましたし、しばしば天才と狂気、ホモセクシャルを題材に取り上げられたりもする。バレエ団主宰者のディアギレフとの蜜月から諍い、バレエ団脱退、自分のバレエ団結成を経て精神に異常をきたし、後半生の大半を狂気のまま生きたそうです。死の床でも彼の代表作である「バラの精」(ウェーバー~ベルリオーズ/「舞踏への誘い」のバレエ)の両腕を頭上で交差させるポーズを取っていたそうです。なんか痛ましい話ですね。
この「牧神の午後」や「ペトルーシュカ」「バラの精」などのオリジナルな振り付けのバレエをビデオで見ることが出来ます。もちろん現在のパリオペラ座のバレエ団によるものですが、ディアギレフのロシアバレエ団が行った公演データを元に復元したもので、テルデックから発売になっています。
TELDEC VIDEO (Warner Music Japan Inc)
WPVP-9707(税込\7,000)
「パリオペラ座バレエ:ディアギレフの夕べ」
「牧神の午後」はアルカディアの森を表現した美しい舞台装置や、まるで一瞬一瞬がギリシャ彫刻のポーズを見ているようで、ダンサーのポーズや立ち位置までが計算し尽くされたニジンスキーの天才が遺憾なく発揮されたものでお馴染みのドビュッシーの音楽と見事に呼応しています。「バラの精」もいいですよ~。
(1999年1月30日 室長Kirio)
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