SPレコード

ここでは、モイーズ全盛期のレコードの形式、SPレコードについて簡単にご説明したいと思います。

まずはSPレコードをご覧いただきましょう。これは復刻はありますけどモイーズのSPレコードの中でわりと珍しい盤だと思います。デビュー盤ではありませんが、最初期の録音です。

G・ユー/ファンタジー のSP盤

このディスクは1927年録音、コロムビア盤、ピアノはジョルジュ・トリュック。

モイーズの初録音として有名なビクター(当時フランスではGramophone)での「アルルの女~メヌエット」などと同じ年に録音。ビクター盤よりノイズも少なく鮮明な録音で、モイーズも大変熱の入った演奏です。

この盤には「印紙」のようなものが貼ってありよく見るとモイーズが使用していたフルートのメーカーCouesnon社の名前が印刷されています。これは、当時のフランスでのコロムビアレコードの発売を、クエノン社が特約契約していたためです。

小品の録音は10インチが主流だったがこの盤は12インチ両面を使用しており、1面では後半部分をカットし2面のテンポの速い部分につながります。            

CD出現の前にLPというアナログ・ディスクがありました。 実は私は最後のSPレコードがプレスされていた頃、オギャーと生まれ、現在厄年真っ盛りです。子供の頃には祖父の持っていたSPレコードで遊んだ記憶もありますが、お若い方々にはSPレコードは「???」だろうな~と思いますよ。

LPレコードのLPというはLong-Playの略です。 では、SPはShort-Playだろう?と思いたいところですが 、Standard-Playなのですね。 つまり1分間に78回転するSPが標準だったところへ、33と1/3分回転の長時間ディスクが登場したために こういう名前になったわけです。

SPレコードは1900年代から1950年代までの長い歴史があります。 当然、技術革新はこの間に幾度もありましたが、今のメディアの進歩のめまぐるしさに比べると、のんびりとしていたというか...。

でも、レコードそのものが貴重品だった時代ですから、いいこともあります。つまり、駄作が少ないということです。 力のない演奏家のレコードなど出している余裕も理由もなかったのですね。

Victorolaアコースティック時代のレーベル面

片面盤の裏、何もない!

電気録音時代Deccaのレーベル面(ベートーヴェン/セレナードop.25)

では、SPレコードが約50年間のうちにどういう変遷を経たか...です。


【収録面】 片面盤→両面盤

これは、わりと早期に実現しました。省エネというより、お買い得ということですね。

【録音方式】 アコースティック録音→電気録音

巨大なラッパを使って音を集め、その音波振動の力のみで溝を刻むのがアコースティック方式。(ラッパ吹き込み)マイクロフォンで集音し、あとは増幅装置を使って電気的に溝を刻むのが電気録音。1925年に実用化されました。

【マスタリング方法】 ワックス原盤→ラッカーマスター方式

1930年代半ばまではワックス原盤といって、蝋(ろう)を素材にした原盤にカッティングしていましたが、ラッカー盤(ア  セテート盤)が登場して音質がクリアーになりました。


【再生】 アコースティック蓄音機→電気蓄音機

録音方式と同じことが言えますが、溝から電気の力を全く借りずに、音を拾いラッパ(ホーン)を使い増幅させて再生するのがアコースティック蓄音機。初期にはおなじみのラッパ剥き出しスタイルですが、後に、長いホーンを折り曲げて箱のなかに収納するようになります。

電気蓄音機は溝から針で振動を拾うところまでは一緒なのですが、その後は電気信号に変換してアンプで増幅、スピーカーで再生します。レコード盤を回すターンテーブルをゼンマイ(スプリングモーター)で回すか、電気モーターで回すかの違いとは別次元の話です。

では、モイーズの代表的なSPレコードの写真をご覧に入れましょう。

モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲

ハープはリリー・ラスキーヌ ピエロ・コッポラ指揮管弦楽団。

有名な盤だが音質的に満足のゆく復刻がないのが残念。この年代はコロムビアの方が断然音質が優れていると私は思う。モイーズはこの録音以前にモーツァルトの協奏曲ニ長調を同じコッポラの指揮で吹き込んでおり、カットして2枚4面に収録している。このフルート&ハープはカットなしで3枚6面に収録。

私の持っている盤だけかもしれないが、3面4面のレーベルが表裏逆に貼られている。たぶん製造ミスではないかと思う。(室長 Kirio)